星々を極微(ごくみ)に砕きしその粒の 一つ一つに宇宙を蔵(おさ)むる
照滴030
本文
星々を極微(ごくみ)に砕きしその粒の 一つ一つに宇宙を蔵(おさ)むる
形式
#短歌
カテゴリ
#5.自然・風景
ラベル
#星 #宇宙 #自然現象 #光
キーワード
#極微 #粒 #宇宙 #星々 #蔵む
要点
微細な粒子の中に宇宙の全体を見出す視点を描く。
現代語訳
星々を極小に砕いたその一粒一粒の中に、宇宙のすべてを収める。
注釈
星々を極微(ごくみ)に砕きし:広大な宇宙(星)を、極めて微細な粒子(極微)にまで分解した。
蔵(おさ)むる:しまう、宿す
解説
禅的・宇宙観的視点で、微小な存在に全体を見出す哲学を表現。自然と精神の一体感が反映される短歌。
深掘り_嵯峨
照滴001(雨だれ)と並ぶ、密教(特に華厳)の哲学を極限まで押し進めた歌です。
「極微」という最小単位の中にも「宇宙」という最大単位が含まれているという、「一即一切、一切即一」の法界縁起の真理を表現しています。最小の塵(極微)が宇宙全体と等価であるというこの教えは、人間の小さな存在もまた宇宙の真理そのものであるという、深い肯定と畏敬の念に満ちています。